甲子園の思い出

 平成18年8月8日の記事(福井新聞より) 福井商巧者ぶり存分 鮮やか先制流れ一気 強気池本攻めて完投

福井商巧者ぶり存分
【福井商巧者ぶり存分 鮮やか先制流れ一気 強気池本攻めて完投】
【評】 福井商が鮮やかな先制攻撃で相手投手を攻略。吉村の2本塁打や機動力を絡めた理想的な展開で北信越対決を制した。
福井商は福岡の主戦前田の立ち上がりを攻め、初回先頭の坂下がいきなり左中間を破る三塁打、続く中尾が左前に運びあっさり先制。中尾は盗塁と暴投で三進。江守の死球で一死一、三塁とした後、山口の打席で前田が再び暴投する間に1点追加。さらに吉村が右翼席に2点本塁打を打ち込み計4点を奪った。
三回には二死二塁から吉村の右越え二塁打、四回にも一死二塁で坂下が三塁線を破る二塁打を放ち加点。六回には左中間三塁打の清水を小林がスクイズでかえす手堅い攻撃で7点目を挙げた。さらに八回、吉村がこの日2点目の本塁打を右翼席にたたきこみ勝利を決定づけた。
福井商の主戦池本は序盤こそ変化球が決まらなかったが、徐々に調子を上げた。直球を主体に打ち気をそらすカーブ、内外角へのスライダーを効果的に使い五回まで被安打2の好投。六回に四球の走者を適時打でかえされたが、危なげない投球で完投した。
【北野監督】
3点前後の接線も予想したが初回の4点が効いた。多彩な変化球を持つ相手投手の甘い球を見逃さなかった。池本は県大会の疲れがまだ残っておりフォームに悪い面もあったが、まっすぐは走っていた。
【江守主将】
甲子園の舞台を楽しみ、頑張ろうとナインに声をかけて初戦に臨んだ。相手の前田投手は要所でいい球を投げていたが、うちの選手がうまく打ちこんだ。(頭部への死球については)もう痛みはない。

 平成18年8月8日の記事(福井新聞より) 夢をかなえ感激

池本大輔
【夢をかなえ感激】
福井商のエース池本は「ちいさいころからの夢だったから・・・」。感激をかみしめながら、マウンドでの勝利の瞬間を振り返った。
もともとは投手志望だったが、初戦敗退に終わった昨夏は、一塁手として出場。昨年のチームには、プロ入りした2本柱、林(ロッテ)と斉藤(広島)がいたためだった。
本格的な投手転向はこの春から。だが、堂々の投球内容で、1失点の完投を果たした。「このためにずっと練習してきたから・・・」と、充実した表情だった。

 平成18年8月8日の記事(福井新聞より) 不振越え吉村2発 3安打4打点 努力実り「夢のよう」

吉村
【不振越え吉村2発 3安打4打点 努力実り「夢のよう」】
1回裏福井商2死二塁、右越えに2点本塁打を放ちガッツポーズの吉村
夏の県大会では不振にあえいだ吉村が2本塁打を含む3安打4打点の大活躍。チームを勢いづけ、初戦突破の大きな原動力となった。
夏の県大会の打率は1割8分8厘。決勝では1試合3犠打を決めるなど"裏方"に回った面もあったが、5試合でわずか3安打の成績を本来長打力のある吉村自信、満足できるはずはなかった。
甲子園入りしてからも大振りになり、タイミングが合わないフォームを自覚していた。「自分の振りを確かめたい」と練習が終わった後も宿舎で黙々と素振りを重ねた。
努力は大舞台で結実した。相手監督に「痛かった」と言わしめた初回本塁打は甘い直球で右翼手がぼう然と見送るほど大きな当たり。八回の2発目は相手主戦が得意とするシンカーをうまくすくい上げ、やはり右翼席へ運んだ。吉村は「試合直前まで不安はあったが、コンパクトに振りぬけた」と最高の笑顔を見せた。
北野監督は吉村を「ひたむきな性格」、主戦池本も「いつもおそくまで残って練習していた」と信頼を寄せる。大車輪の活躍に「夢のよう」と照れる吉村は清峰戦に向けては「悔いを残したくない。思い切りいく」と自信ありげに言い切った。

 平成18年8月15日の記事(福井新聞より) 春準V・清峰撃破 福井商集中打で逆転 好守連発流れ渡さず

清峰撃破 福井商集中打で逆転
【春準V・清峰撃破 福井商集中打で逆転 好守連発流れ渡さず】
【評】 序盤に先制された福井商は四回に集中打で4点を挙げ逆転。六、八回にも貴重な追加点を奪った。最終回に1点差に迫られたものの、主戦池本が後続を打ち取り、春の選抜準優勝高に競り勝った。
池本は二回、清峰打線につかまり無死一塁から佐々木伸の三塁打と田辺の犠飛で2点を献上。しかし福井商はその裏、相手先発有迫から江守、吉村が粘って四球、山口の死球で満塁とし挺屋の犠飛で1点をかえした。
四回には二死一塁から挺屋の左前打、小林の四球で満塁。坂下が三塁線を鋭く破る適時打を放ち2人が生還して逆転。続く中尾も三塁線に2点適時打を放ち一挙4点を挙げた。いずれもやや高めに浮いた球を狙い打った。
六回は2番手富尾から2死球、暴投で得た無死二、三塁の好機に挺屋の内野ゴロで1点。八回にも二死二塁から坂下が右前に運び7-2と点差を広げた。
池本は走者を背負いながらも低めのスライダー、カーブが有効だった。強打の清峰打線から10奪三振。最終回は3点本塁打などで1点差とされたが後続を断ち、2試合連続の完投勝利を収めた。
【北野監督】
2点を先制されたときはどうなるかと思ったが、すぐに1点をかえすことができたのが良かった。相手投手の低めのボール球に手を出さなかった。守備でも選手は結果を恐れず100%の力を出してくれた。
【江守主将】
相手の有迫投手のフォークやスライダーを振らないよう気をつけた。直球には切れがあった。守備でも気が抜けなかった。序盤に先制されたが県大会でもよくあったので必ず追いつくと信じ平常心で戦った。

 平成18年8月15日の記事(福井新聞より) 1番坂下が3打点

1番坂下が3打点
【1番坂下が3打点】
坂下が打つと福井商は波に乗る。清峰吉田監督が試合前日に漏らした予想は、同監督にとって悪い方に的中した。
リードオフマン、1番坂下が四回に2点をかえす逆転の三塁線安打を放ち、八回にも結果的に決勝点となる貴重な右前適時打。チームを3年ぶりの3回戦に導いた。
三回の第2打席、直球を振りぬきショートライナーに倒れたが「自分には真っ直ぐが多い。次は打てる」と確信した。四回に二死満塁の一打逆転の好機が回ってくると、得意の初球狙いで外角直球を見事に三塁線へ打ち返した。「ベースに近い位置に立ち外角を狙い打った。成功です」と坂下。八回の右前打初球打ち。清峰が誇る2枚看板を打ち砕いた。
身長163センチと小柄ながら、安定したミートと思い切りの良さに定評がある。春の北信越大会から1番打者に起用され、「四死球でもいいから、出塁するのが仕事」と自分の役割も心得てきた。
それでも「やっぱり安打はうれしい。気持いいですから」と白い歯をこぼした。「今度は初回から出塁したい」と、対戦したかった相手という早実戦に向け強い意欲をのぞかせた。

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