甲子園の思い出

 平成18年8月17日の記事(福井新聞より) 福井商先制むなしく 攻めきれず逆転喫す 10安打も早実崩せず

福井商先制むなしく 攻めきれず逆転喫す 10安打も早実崩せず
【福井商先制むなしく 攻めきれず逆転喫す 10安打も早実崩せず】
【評】 福井商は五回に先制したが、六回に2本塁打を含む長打攻撃で4点を許し逆転され、八回にも3点を奪われ敗れた。福井商は早みの好投手斎藤から10安打を放ったが、バントミスなどが響き追加点を奪えなかった。
序盤から福井商の先発池本は伸びのある直球を低めに集めた。再三走者を出すものの、一塁手吉村が何度もショートバウンドの送球を好捕するなど堅守でしのいだ。
福井商は五回一死後、小林の四球、坂下の内野安打、中尾の三塁ゴロが相手敵失を誘い満塁。池本は打ち取られたが続く江守が甘いスライダーを左前に運び先制した。
しかし早実は六回一死一塁から後藤の右越え三塁打で同点。船橋に右中間に2点本塁打、続く斎藤にもバックスクリーンに本塁打を許し1-4と逆転された。八回は2本の適時打で3点を失った。
福井商は制球が定まらない斎藤の立ち上がりを攻め、初回中尾の二塁打とけん制悪送球で一死三塁の好機を作ったが後続を断たれた。二、三回にも送りバントのミスやあと1本が出ず、斎藤を崩しきれなかったのが最後まで響いた。
【北野監督】
池本は5回までは制球がよかったが、六回は甘く入ったところを痛打された。相手の斎藤投手は要所でいい球がきていた。選手はよくここまで成長した。努力すれば成果が得られることを実感したと思う。
【江守主将】
序盤は主導権を握っていたが、途中から池本が疲れてしまった。斎藤投手は決め球にキレがあり、相手攻撃陣の打球は速かった。点を取られてもあきらめのムードはなかった。甲子園で3試合できたことは幸せ。
【一打点、主将4番の意地】
4番で主将の江守が五回に先制点となる左前適時打を放った。早みの斉藤から奪った唯一の得点。勝利にはつながらなかったが、主砲の意地を見せた。
第1、2打席ともに好機に倒れ「悔しかった」。奮起した第3打席。斎藤のスライダーの失投を見逃さず、ライナーで左前に打ち返した。「真ん中の甘い球が来た。芯で捕らえられた。ほっとした」と振り返ったが、「4番としては40点」と序盤に好機を逃したことを反省した。
主将として1年間チームを引っ張ってきた。「一丸となって頑張ってきて、甲子園で強豪と戦えたことに満足している。笑って帰りたい」と江守。北野監督に対して「こつこつ指導していただき、4番で使ってくれた。感謝の言葉しかない」。さらに「自分が落ち込んでいるときは、いつも挺屋が部員を引っ張ってくれた」と中学時代からともに励んできた副主将の名を挙げた。
帽子のつばの裏に書いた言葉は「仲間」。福井を出発する日に自分で考えて書いた。「主将として仲間を信じたかった。(全部員)73人の名前は書けないですから」。
試合終了後のあいさつで、アルプススタンドの仲間を見て涙を抑えられなかった。常にチームの和を大事にしてきた江守慎一郎が主将の役割を全うした。

 平成18年8月17日の記事(福井新聞より) 練習の成果出た

中尾 練習の成果出た
【練習の成果出た】
中尾が早実の斉藤から3安打を放った。初回の痛烈な右越え二塁打は真ん中の直球を捕らえた。七回の左前打、最終回の中前打はともに斎藤得意のスライダーをうまくミートした。「150キロの速球を打ってきた練習の成果が出た」と中尾。
最終回の打席を「まだ逆転できると信じていた。池本につなぐ一心だった」と振り返った。斎藤については「同じ高校生。ひるんではいけない」と気持で負けなかった。
チームは力尽きたが「毎試合が楽しかった。満足です」と晴れやかな表情で球場を後にした。

 平成18年8月8日の記事(福井新聞より) 28年間で500戦見守る「力、出し切ったぞ」

近藤啓一 28年間で500戦見守る
【28年間で500戦見守る「力、出し切ったぞ」】
福井商野球部OBの中でも、自他ともに一番と認める"福井商ファン"近藤啓一さん(50)=福井市河増町。大学を卒業して地元に戻った1978年からの28年間で足を運んだ試合は実に500試合以上。この日も甲子園に姿を見せ、他の20人近いOBとともに、後輩の一挙手一投足を温かく見守った。
近藤さんは同校野球部時代、走投守三拍子そろった内野手として活躍。72年春、73年春、夏の3度甲子園に出場し計2勝を挙げた。大学卒業後に消防士となって以来「自分を育ててくれた北野監督に対する恩返しになれば」と、仕事の合間を縫って県大会や甲子園はもちろん、練習試合にも足しげく通っている。
試合前「相手は強いけど、普段通りの野球をすれば必ず勝機はある」と話していた近藤さん。その言葉通り、序盤から白熱した攻防を繰り広げ、五回の先制点奪取には「いけるぞ」。声援に一層熱がこもった。
結局、試合には敗れたが「選手は最後までのびのびとプレーしていた。力を出し切っての敗戦だから悔いはないでしょう」。優しいまなざしで、グランドを去る後輩に惜しみない拍手を送っていた。

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